【一覧表あり】がんの民間療法とは?効果や知っておくべきことを解説

「がんの民間療法にはどのようなものがある?」

「がん自体に効果はあるの?」

と悩んでいませんか?がんの民間療法についてインターネットや書籍などで情報が溢れており、混乱してしまうでしょう。

日本では、がんに対して標準治療(科学的根拠に基づいた治療)が定義されています。民間療法の役割は、あくまで心身の負担を軽減する補助的なものです。本記事では、がんの民間療法の概要をはじめとして、以下の内容を解説します。

  • 種類とその効果
  • 検討する際に知っておくべきこと
  • 調べる方法
  • 調べる際の注意点

民間療法を検討している方は、本記事を参考にして慎重に選択してください。

目次

民間療法とは

民間療法とは、一般的に薬物療法や放射線治療、手術などの標準治療以外の療法を指します。民間療法の一例を紹介すると、以下のようなものがあります。

  • 健康食品、サプリメント、ハーブ
  • 鍼(はり)・灸(おきゅう)、マッサージ、
  • アロマセラピー、ヨガ、
  • 伝統的中国医学、ホメオパシー、アーユルベーダ

以上の民間療法は、補完代替医療(ほかんだいたいいりょう)と総称されています。日本では、医師が必要と判断した場合に、マッサージや鍼、お灸、漢方薬などを保険診療で受けることが可能です。

医師が民間療法を推奨しているケースもあります。医師から推奨された際は「何を根拠にどんな効果があるのか」また「保険診療で受けられるのか」などを見極めるようにしましょう。

【一覧表】がんの民間療法の種類とその効果について

がんにおける民間療法の一覧は以下の通りです。

種類期待される効果
健康食品プロバイオティクス(善玉菌の一種)が、放射線治療にともなう下痢を軽減する可能性がある
運動療法がんにともなう肩の痛みや体のだるさ、尿失禁などを改善する可能性がある
鍼灸治療(しんきゅうちりょう)がんにともなう痛みや化学療法の吐き気、術後尿閉(じゅつごにょうへい:手術後に尿が出なくなること)など軽減する効果が期待できる
ホメオパシー放射線治療における皮膚炎を軽減させる可能性がある
マッサージがんやがんの治療にともなう痛みや吐き気、だるさ、不安、抑うつ、ストレスなどを軽減させる可能性がある
アロマセラピー・マッサージがんにともなう痛みや体のだるさ、不安、抑うつなどの症状を軽減する可能性がある
ヨガ乳がんによる痛みや体のだるさ、睡眠障害、不安、抑うつ状態、ストレス、ホットフラッシュ(のぼせやほてり、発汗などの症状)を軽減する可能性がある
アニマルセラピー精神症状を軽減する可能性がある
音楽療法小児がんにおいて不安や痛みを軽減し、コミュニケーションの促進に寄与する可能性がある

参考:日本緩和医療学会 がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス(2016)

以上の効果について、日本では十分な研究により科学的根拠が証明されたわけではありません。あくまで参考程度にとどめてください。以下ではそれぞれの民間療法の詳細を解説します。

1.健康食品

健康食品とは、健康の保持や増進のために販売・利用されている食品。がん自体に対して、明確な治療効果を示した健康食品はありません。しかし、以下の成分は、がんの症状の軽減に役立つ可能性があります。

プロバイオティクス放射線治療にともなう下痢を軽減する可能性がある
EPA(エイコサペンタエン酸)DHA(ドコサヘキサエン酸)悪質液(がんにより栄養状態が低下して衰弱した状態)の症状の改善に役立つ可能性がある

以上は、複数の研究結果を統合して証明されたわけでないため、効果があると結論づけられているわけではありません。

また、健康食品に使用されるにんにくや緑茶、中国ハーブ、ヤドリギ、ショウガ、朝鮮人参などは、がんの治療薬に影響を及ぼす可能性があるため注意してください。

2.運動療法

運動療法とは、病気の症状や障害を運動によって改善・予防する療法です。がんにおける運動療法では、以下の効果があると報告されています。

  • 乳がんや頭頸部がん(とうけいぶがん:脳と目を除いた首から上のがん)による肩の痛みの軽減
  • 乳がん治療中・後のリンパ管浮腫(むくみのこと)の軽減
  • 前立腺がんによる尿失禁の改善
  • 肺がんによる術後合併症の軽減
  • がんによる体のだるさや不安、抑うつ、ストレスの軽減

他にも、睡眠障害に有用かもしれないとされています。ただし、患者様の病状に応じた運動療法を実施する必要があります。自己判断で行わずに、医師や医療スタッフに相談して運動量や強度を調整しながら実施してください。

3.鍼灸治療

鍼灸治療は、中医学(中国伝統医学)診断にもとづき、鍼や灸などによって体に何らかの刺激を与えて体調を整える治療方法。民間療法の中でも臨床研究が多く実施されており、がんにおいては以下のような効果が報告されています。

  • がんによる痛みの軽減
  • 術後尿閉の軽減
  • 化学療法の吐き気の軽減

鍼灸治療は日本の国立病院などでも取り入れられています。ただ、鍼灸治療は、がんやむくみ、潰瘍(かいよう:皮膚や粘膜が深く傷ついた状態)などがある部位に実施していけません。検討する場合は担当の医師に相談しましょう。

4.ホメオパシー 

ホメオパシーとは、人の自然治癒力に働きかける治療法です。ある症状を引き起こしている人に対して、健康な人に与えた際に同様の症状を引き起こす物質(ホメオパシー薬)を投与して治療を進めます。

PubMedという論文検索サイトでは、ホメオパシーによってがんの縮小や生存率に寄与したという研究論文はありません。(2000年1月1日〜2014年12月31日時点)

一部、乳がん患者さんのエストロゲン減少やホットフラッシュに対する研究はありますが、効果を示す確証はないと結論づけられています。放射線治療における皮膚炎を軽減させる可能性があるという報告はあります。

5.マッサージ

マッサージとは、主に手を使い体の表面を「さする」「圧する」「もむ」などの刺激を与えて、体の調子を整える施術。

さまざまながん患者さんに対してマッサージを実施したところ、痛みや吐き気、だるさ、不安、抑うつ、ストレスを軽減できる可能性があると報告されています。しかし、研究の質に課題があるため結論づけられてはいません。

緩和ケア病棟では、痛みや不安の軽減目的で利用されています。マッサージは、動脈硬化(どうみゃくこうか:血管の弾力性が失われている状態)や心臓の病気など、実施すべきではない病態が多数あります。マッサージを検討したい方は、担当の医師に相談したほうがよいでしょう。

6.アロマセラピー・マッサージ

アロマセラピー・マッサージとは、植物の花や種などから抽出したオイルを利用して、病気の治療や予防、心身のリラックスを目的とする療法です。がんにともなう痛みや体のだるさ、不安、抑うつなどの症状を軽減する効果があると報告されています。

しかし、十分な研究結果が集まっておらず、効果があると証明されているわけではありません。局所のがんや炎症している部分、放射線治療をしている部分は避ける必要があるため、利用を検討する方は医師に相談する必要があります。

7.ヨガ

ヨガは体位法、呼吸法、瞑想(めいそう)などを組み合わせた運動法。乳がんによる痛みや体のだるさ、睡眠障害、不安、抑うつ状態、ストレス、ホットフラッシュを軽減する可能性があるとされています。

ただし、ヨガは本人の技術取得状況により効果が異なります。ヨガの技術を適切に取得するには、専門のインストラクターから指導を受けることが必要です。

また、骨転移が疑われる場合は骨折のリスクがあるため、強く体を曲げたり伸ばしたりすることを避けなければなりません。そのため、医師に体をどこまで動かしてよいのかを確認してください。

8.アニマルセラピー

アニマルセラピーは、動物と人との交流による補助療法、またはケアの一貫としての活動を指します。アニマルセラピーの目的は、ストレスの軽減や情緒の安定、意欲の向上、社会性の改善などです。

がん患者様に対しては、精神症状が軽減する可能性がありますが、明確な根拠はありません。アニマルセラピーの活動を受ける際は、感染症やアレルギー、動物による外傷などに注意しましょう。

9.音楽療法

音楽療法は、音楽により心身の症状や身体機能の改善などを図る療法。小児がんにおいて不安や痛みを軽減し、コミュニケーションやゲームの参加を促進するなどの効果が期待できます。

しかし、これらの研究結果はまだ限られており、強い根拠を示すものではありません。他にも、乳がん患者さんに対して不安の軽減に有効であるという報告があります。一方、うつ症状の改善に対する効果は明確に認められていません。

がんの民間療法を検討する際に知っておくべきこと 

がんの民間療法を検討する際には、知っておくべきことは以下の2つです。

  • 健康食品によって治療ができなくなる可能性
  • 期待できるのは補完利用による心身のつらさの改善

それぞれ解説します。

健康食品によって治療ができなくなる可能性

がんの民間療法で特に注意すべきなのは、健康食品やサプリメントの摂取です。摂取するものによっては、受けているがんの治療を弱めたり副作用を起こしたりする可能性があるためです。

例えば、以下のような状況になると、適切な治療を進められなくなる可能性があります。

  • がんの治療薬と飲み合わせできないものを摂取していた場合
  • 健康食品の中に医薬品と似た成分が違法に添加されている場合
  • 極端な栄養摂取や制限による健康被害

健康食品やサプリメントの摂取をしたい場合は、医師に相談する必要があります。

期待できるのは補完利用による心身のつらさの改善

民間療法で期待できることは、痛みや吐き気、体のだるさ、不安、抑うつ、ストレスなど補完医療としての心身のつらさの改善です。決してがん自体が治癒されるわけではありません。

また、科学的根拠の不足により国からの認可に至っていない治療もありますが、補完医療として活用されています。

民間療法を始める前、またはすでに始めてしまっている場合でも、まずは担当の医師に相談して治療方針を決めましょう。

がんの民間療法を調べる方法

がんの民間療法を調べる際は、信頼できる情報源を参考にしなければなりません。しかし、日本では民間療法(補完代替医療)に取り組む専門の政府機関が存在しておらず、欧米と比較して情報収集と情報発信が遅れているのが現状。

信頼性の高い情報源としては、以下のようなサイトがあります。

上記以外のサイトでも情報収集はできます。しかし、あふれる情報で患者様とご家族が混乱することもあるでしょう。そのため、サイトを参考にする際は、以下の点を確認してください。

  • 運営元はどこか
  • 情報の出典元はどこか
  • 情報は事実に基づいているか
  • 情報はどのように選ばれたか
  • 情報は最新のものか
  • 何のために発信しているか
  • サービス・商品など購入を勧めていないか

がんの民間療法を調べる際の注意点

がんの民間療法の情報を調べる際は、以下のことに注意してください。

情報を疑う民間療法だけに限らず健康情報は疑ってみることが大切。「◯◯でがんが消えた」という情報は、並行して化学療法や放射線療法を行っていた可能性もある
情報を広い視野で見る健康情報はあらゆる角度からみる必要がある。がんにより精神的に落ち込んでいるときは、マスコミの情報などを鵜呑みしてしまう可能性も。落ち着いて、得た健康情報を調べ直すことが大切
単純に考えないがんという病気は「◯◯でがんが消えた」など単純に治癒するものではない。その情報は「どこの」「誰が」「何を根拠に」発信しているのかを調べる必要がある

まとめ

がんの民間療法の役割は標準治療の補助。主に心身の負担の軽減が期待されています。

がん自体を治癒する方法もありますが、長期的なアプローチが必要となるでしょう。また、科学的根拠に基づく治療法でないため、効果に個人差が見られるケースもあります。民間療法によっては効果が十分に証明されていなかったり、がんの標準治療を妨げたりする場合も。

周囲におすすめされたからといって情報を鵜呑みにしてはいけません。民間療法を検討する場合は、正しい情報を調べると同時に担当の医師に相談することが重要です。

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この記事を書いた人

「医者や病院任せではなく、自分を知って治療法を選ぼう」医療に対する考え方や治療法の選び方が多様化している現在において、いしゃっちはそのひとそれぞれの状態や信念に基づいて、無理なく負担がない治療法を一番に推奨したいために、統合医療という形で情報提供していくつもりです。気軽にいろんな治療法を知っていただき、ご自身に合ったものを選んでいただけたらと思いまして、とかく重たくなりがちな医療ですが、いしゃっちという軽やかな名前を付けさせていただきました。

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