アートセラピーを怪しいと疑う前に 安全性と効果

アートセラピーに興味はあるけれど、「なんとなく怪しい」「本当に効果があるの?」と感じる方は少なくありません。

特に、がん患者さんやそのご家族にとっては、安全性や科学的根拠が気になるポイントでしょう。

本記事では、アートセラピーに対する誤解や日本における現状、がん治療との関わりなど、最新の情報とともに誤解を解くためのポイントを解説します。

アートセラピーが持つ本来の価値を知り、安心して利用できるヒントにしていただければ幸いです。

・アートセラピーとは何か?基本的な定義と概要

アートセラピーは、絵画や粘土、音楽、ダンスなどの芸術活動を通して、こころや身体の健康を支える心理療法のひとつです。

専門のアートセラピストがサポートし、自己表現や感情の整理、ストレスの軽減などを目的に行われます。

言葉でうまく伝えられない心のもやもやも、アート作品にすることで開放しやすくなると言われています。

医療現場では、がん患者さんの不安や抑うつの緩和、QOL(生活の質)向上を目指して導入されることも増えています。

・怪しいと思われる理由とは?誤解されやすいポイント

アートセラピーが怪しいと思われがちなのは、効果のイメージがあいまいだったり、民間療法との違いがわかりづらかったりするためです。

また、「アート=芸術」という先入観から、特別な才能がないとできないのではと誤解されることもあります。

さらに、SNSやインターネット上に未確認の情報があふれており、実際に医療現場で活用されている事例が見えづらいことも、疑念を生む要因になっています。

・がん治療とアートセラピーの関連性

がん患者さんにとって、治療中の心身のストレスや不安、不眠、孤独感などは大きな負担になります。

アートセラピーは、そうした負担を和らげるための補助的な療法として使われることが多いです。

作品をつくる体験を通じて自己肯定感が高まりやすく、同じ病気を持つ仲間と安心感を分かち合うきっかけにもなります。

また、医療チームとも連携しながら行うことで、患者さんが自分らしく生きる力を引き出すサポートとなっています。

・日本におけるアートセラピーの現状と導入例

日本では、アートセラピーはまだ比較的新しい分野ですが、近年はがん病棟や緩和ケア、リハビリテーション施設などで活用されつつあります。

特に、小児がん患者さん高齢の患者さんへの心のケアに取り入れられています。

事例としては、病院内にアートスペースを設けて専門家によるセッションを定期的に実施するスタイルや、オンラインでのプログラムも増えています。

今後も医療現場での普及が期待されています。

・科学的根拠から見るアートセラピーの評価

アートセラピーの効果に関しては、近年科学的な研究も進んでいます。

例えば、がん患者さんにおいてアートセラピーを行うと、不安や抑うつ、自律神経の乱れが軽減したという報告が複数存在します。

また、血圧や心拍数の安定、生活の質向上にも一定の成果が見られています。

しかし、人によって効果の感じ方に個人差があるため、医師や専門家のサポートのもとで利用することが大切です。

<アートセラピーが「怪しい」とされる主な誤解とその背景>

アートセラピーが怪しいと感じられる背景には、インターネットやSNSに散見される誤解や、制度の未整備・日本独自の医療風土があります。

商業目的で実施される類似プログラムや、民間療法と混同されることで、効果や信頼性について疑問を持つ方も多いようです。

ここでは、よく誤解されやすいポイントや、なぜそうした印象が生まれるのかを詳しくご紹介します。

1.民間療法と混同されやすい理由

アートセラピーは、アートという言葉から一般的な趣味や習い事、さらには民間療法と混同されやすい特徴があります。

マッサージや音楽療法、気功などと一緒くたに扱われ、効果がはっきりしないという印象を持たれることも。

そのため、医療に基づいた科学的なセラピーであることや、専門職が行うサポートであることを正しく知ることが大切です。

2.効果が証明されていない説は本当か?

アートセラピーの効果は証明されていないといった声も見かけますが、近年はエビデンス(科学的根拠)に基づく研究や臨床試験も増えています。

特にがん患者さんでは、ストレスや不安の軽減、生活の質向上に役立つとの結果が得られている例もあります。

ただし、薬のように即効性や明確な数値化が難しいため、その有効性の評価には慎重さが求められるのも事実です。

3.資格や指導者の質に対する不安

日本では「アートセラピスト」という国家資格はまだ整備されていません。

一方、民間団体が認定する資格や、専門教育を受けた指導者も少しずつ増えてきています。

指導者によってスキルや知識に差が出ることも、利用者に不安を与える材料です。

導入を考える場合は、セラピストの経歴や、どのような研修を受けているかを確認することがポイントです。

4.インターネット上での情報の偏り

アートセラピーに興味を持って情報を探すと、インターネット上には正確な説明から誤った内容まで幅広く存在しています。

時には、効果を誇張しすぎたり、逆に否定的な意見が多かったりと、偏った情報に左右されがちです。

信頼できる医療機関や公的機関の情報をまず参考にして判断するのがおすすめです。

5.商業目的のプログラムとの違い

最近では「アートセラピー」と称して高額な教材やセミナー、商品を販売する例も出てきています。

こうした商業目的のプログラムは科学的根拠がなく、内容もまちまちなため、公式な医療・福祉分野でのアートセラピーとは異なる点に注意しましょう。

受ける際は、主催者がどんな専門性を持ち、どのような実績があるか確認することが大切です。

6.海外と日本での信頼度の違い

アートセラピーは欧米をはじめとする海外では、がんセンターなどの医療施設で当たり前に導入されており、臨床心理士や作業療法士による連携が充実しています。

一方、日本ではまだ新しい分野としてとらえられ、信頼度や認知度が低いのが現状です。

しかし、最近では日本国内の医療現場でも積極的な導入例が増えており、今後さらなる進化が期待されています。

<がん患者さんにとってのアートセラピー:実際のメリットと効果>

アートセラピーが怪しいと感じる方もいらっしゃいますが、近年、がん患者さんのケアにアートセラピーを取り入れる医療現場が増えています。

絵や造形、音楽などの芸術を通じて心身にアプローチし、治療の副作用やストレスの緩和を目指すものです。

実際にさまざまな研究や事例報告から、患者さんやご家族に多くのメリットがもたらされています。

ここでは、がん患者さんにとってのアートセラピーの実際の効果について詳しくご紹介します。

1.心のケアとしての役割

抗がん剤治療や手術などで、がん患者さんは心身に大きな負担を抱えています。

アートセラピーは、言葉では表現しにくい不安や恐れ、悲しみなどの感情を作品に込めて吐き出し、心のバランスを整える手助けをします。

描く・作るといった活動を通じて、自己表現や自分自身との対話が促され、抑うつや孤独感の軽減、前向きな気持ちを取り戻すきっかけにもなります。

難しい言葉を必要としないので、どなたでも始めやすい点が大きな魅力です。

2.痛みやストレス対策としての実例

多くの医療現場で、アートセラピーは痛みやストレス軽減の補助策として取り入れられています。

たとえば色を塗ったり、粘土で形を作ったりすることで「今この瞬間」に集中できるため、不快な症状や不安から気持ちをそらすことができます。

海外の病院では、小児がん患者への導入で鎮痛剤の使用量が減ったという報告も。

アートに没頭する体験が「自分にもできる」「まだ楽しめることがある」と、前向きな意欲や希望を生み出します。

3.患者さんと家族のコミュニケーション促進

アートセラピーは、患者さんとご家族の心の距離を縮める場にもなっています。

たとえばお子さんの描いた絵を一緒に見たり、親子で粘土細工に取り組んだりすることで、感情を分かち合うきっかけが生まれます。

特に終末期医療の現場では、残された時間を大切に過ごすコミュニケーションツールとして活用されています。

一緒に作品を完成させた達成感が、絆の強化や語らいの場の創出につながります。

4.副作用の軽減やQOL向上に関する報告

アートセラピーは、「怪しい治療法」と誤解されることもありますが、実はQOL(生活の質)向上や副作用軽減を目的に、研究が進められています。

たとえば、吐き気や食欲低下、倦怠感といった症状の緩和に役立ったとの報告もあります。

また、作品づくりが自己肯定感を高めることで、日常生活への意欲も促されます。

がん患者さんが主体的に日々を過ごせるきっかけとしても注目されています。

5.医療現場での導入事例と成功例

日本国内外の多くの病院で、専門のアートセラピストと医療従事者が連携し、がん患者さんの心身ケアに取り組んでいます。

たとえば、緩和ケア病棟での導入例では、患者さんの笑顔や会話が増えたとのアンケート結果が報告されています。

小児病棟では、治療への恐怖心が和らぎ、治療協力性が高まったとのこと。

患者さんだけでなく、ご家族にも精神的な支えになったとの声も多く、医療現場全体の雰囲気が明るくなったという評価もあります。

<安全性が気になる方へ:アートセラピーのリスクと注意点>

アートセラピーは特別な薬剤を使わず、お子さんから大人まで幅広く体験できる反面、「アートセラピーって怪しいのでは?」と安全性や副作用について疑問を持つ方もいます。

この章では、リスクや注意点について正しく理解するためのポイントを解説します。

安心して利用できるよう、基本的な知識を押さえて読んでみてください。

1.アートセラピーによるリスクはあるのか?

アートセラピーは体への副作用がほとんどない安心な方法とされています。

ただし、心理的なアプローチであるため、過去のつらい記憶がよみがえるなど、感情が一時的に強く揺さぶられる場合もあります。

また、技能や資格を持たない『なんちゃってセラピスト』による不適切な関わりで心の傷が深まるリスクも考えられます。怪しい団体や無資格の指導者には十分な注意が必要です。

2.医療従事者と連携することの大切さ

がん患者さん自身の状態や治療経過によって、心身の負担の度合いはさまざまです。

安全にアートセラピーを取り入れるには、主治医や看護師などの医療従事者ときちんと情報共有しながらすすめることが大切です。

治療内容や禁止されている動作をきちんと確認し、副作用や体調の変化にも早く対応できる体制を整えておきましょう。

勝手な判断での無理な活動は避けてください。

3.信頼できるアートセラピストの探し方

アートセラピー業界には公的な資格制度があり、認定アートセラピストや医療従事者経験者が在籍する施設も増えています。探す際は、

   ・病院やクリニック内のプログラム

        ・国や地方自治体が認定したカウンセラー

        ・専門団体に所属しているか

を確認しましょう。

口コミや体験談、ネットでの評判も参考にしつつ、直接問い合わせて雰囲気や対応を感じ取ることが大切です。料金体系も明確かどうか確認すると安心です。

4.がん患者が自己判断で行う際の注意点

自宅で本や動画を見てアート活動を行う方も多いですが、がん患者さんの場合は体力や免疫力の低下に十分注意が必要です。

材料や道具の衛生管理、疲労感への配慮は必須です。

不安な点は主治医に相談し、無理なく楽しむ範囲で行いましょう。

情緒が不安定になる時期には、一人で抱え込まず、身近な人や専門家にサポートを求めるようにしてください。

5.他の治療との併用におけるポイント

アートセラピーは、医師から処方された薬や治療の代わりにはなりません。

必ず主治医と相談し、治療と並行して取り入れる形がおすすめです。

治療日や副作用が強い時など、体調に応じて柔軟に利用することがQOL(生活の質)の向上につながります。

治療の妨げにならない範囲で、無理なく楽しむことがポイントです。

6.実際に利用した患者の声・体験談

「治療中は気持ちが塞ぎがちだったけれど、アートセラピーで自分を表現できて、気持ちが楽になった」「家族と一緒に絵を描くことで、今まで言えなかった気持ちを伝えられた」「最初は怪しいかもと思ったけど、専門家のサポートで安心して参加できた」といった声が寄せられています。

治療へのモチベーションが上がった、生活に彩りが戻ったと感じる患者さんも多いです。

まとめ

「アートセラピーは怪しいものでは?」と疑問を感じる方も安心して利用するために、信頼できる情報と専門家のもとで体験することが大切です。

メイン治療と競合せず、一人ひとりに合わせた形で心の支えとなるアートセラピー。

正しい知識と医療者との連携を持ちながら活用すれば、患者さんの悩みをやわらげ、前を向くきっかけになり得ます。

患者さん自身はもちろん、ご家族にも安心感や納得のいく時間をもたらすことが期待されています。

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「医者や病院任せではなく、自分を知って治療法を選ぼう」医療に対する考え方や治療法の選び方が多様化している現在において、いしゃっちはそのひとそれぞれの状態や信念に基づいて、無理なく負担がない治療法を一番に推奨したいために、統合医療という形で情報提供していくつもりです。気軽にいろんな治療法を知っていただき、ご自身に合ったものを選んでいただけたらと思いまして、とかく重たくなりがちな医療ですが、いしゃっちという軽やかな名前を付けさせていただきました。

目次