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タバコの発がん性~紙タバコからアイコスまで
<タバコは有害物質のかたまり>
タバコが身体に悪いというのは今更な話ですね。
もはや喫煙率は下がる一方で、言わずもがなといった状況です。
実際にタバコのパッケージにも、警告表示を載せることが義務付けられています。
「動脈硬化や血栓形成傾向を強め、あなたが心筋梗塞など虚血性心疾患や脳卒中になる危険性を高めます」
「肺がんをはじめ、あなたが様々ながんになる危険性を高めます」
「妊娠中の喫煙は、胎児の発育不全のほか、早産や出生体重の減少、乳幼児突然死症候群の危険性を高めます」
実際に、IARCの発がんリスク評価でも、グループ1「発がん性がある」に分類されています。
しかし、ネットなどで日本は喫煙率が下がっているにもかかわらず、肺がんでなくなる人の数は増えていることから、タバコで肺がんになるというのは嘘だという説を唱える人もいます。
単純に喫煙率と肺がん死亡率のグラフを見ればおっしゃる通りなのですが、これは高齢化の影響で高齢者の肺がん死亡率が高いためなのです。
その証拠に、年齢構成を補正した「年齢調整死亡率」を使用したグラフを見ると、喫煙率の低下に伴い、肺がん年齢死亡率は1996年をピークに年々低下しています。
また、世界中の数多くの研究が、喫煙によって肺がんや慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリスクが高くなることを証明しています。
タバコは、その主流煙によって最も健康との因果関係が証明されているものなのです。
<受動喫煙で年間1万5000人が亡くなっている>
2020年4月1日から、受動喫煙を防止することを目的に、改正健康増進法が全面施行されました。学校や行政機関、病院などはもちろん、飲食店やオフィスなどでも屋内が原則禁煙となりました。
では、その受動喫煙の害なのですが、どれほど有害であるかを示すのに十分すぎるエビデンスがあります。
2006年 米国の公衆衛生局長官(米国における公衆衛生の最高責任者である医師)の報告書によりますと、紙巻きタバコの受動喫煙によって肺がんのリスクは20~30%上昇することが明らかになっています。
それ以外にも、心筋梗塞・脳卒中・乳幼児の突然死症候群や喘息との関係が報告されています。
また、国立がん研究センターによると、日本では毎年1万5000人もの人が受動喫煙によって命を落としているそうです。これには喫煙者は含まれず、周りで副流煙を吸った人のみの死亡者数です。ちなみに、世界では年間60万人が受動喫煙で死亡しています。
<新型タバコの登場>
現在、発展途上国での紙巻きたばこの喫煙率は上昇する一方、先進国では低下をたどっています・・とはいえ、最近出てきた加熱式タバコや電子タバコと呼ばれる「新型タバコ」が、先進国では増えています。
ですが、新型タバコは、本当に害がないのでしょうか?
たばこの煙に含まれるニコチンには強い依存性があるものの、それ自体には発がん性はありません。主に肺がんを起こすのは、たばこの煙に含まれるその他の発がん性物質なのです。
そういった発がん性物質を極力量を減らしてできたものが、新型タバコなのです。
新型タバコには、電子タバコと加熱式があります。
電子タバコは液体を加熱して発生するエアロゾル(水蒸気)を吸うものです。
日本では、ニコチンを含む電子タバコ用の液体は法律で規制されているため、販売されていません。日本で販売されているものは、ニコチンを含まないエアロゾルを吸入するものだけです。
一方で、タバコの葉を直接過熱し、発生したエアロゾルを吸う加熱式たばこに関しては、規制が存在しないため販売が許可されています。
ニコチンを含む電子タバコの液体の販売が規制されているのに対して、タバコの葉を加熱して吸入するのは規制対象外というのは不思議な話だなと思われます。
<加熱式タバコの有害性>
紙巻きタバコの受動喫煙がどれほど身体に悪いかについては、十分なエビデンスがある一方で、問題は、「加熱式タバコの受動喫煙」が周囲の人にどれくらいの健康被害を与えるのかです。
結論から言うと、エビデンス不足ではっきりとしたことが言えない状況です。
加熱式タバコの受動喫煙に関してはエビデンスが不十分なのですが、「主流煙」に関しては少しずつエビデンスが出てきています。
例えば、2017年に権威ある米国の医学雑誌に掲載された論文によると、アイコスの蒸気に含まれるホルムアルデヒド(発がん性物質)の量は紙巻きたばこの74%でした。
フィリップモリスインターナショナルは、アイコスの有害物質を90~95%削減したと報告していたため、この研究結果には驚きをもって受け入れられました。
2018年FDA(米国食品医薬品局)の詰問委員会は、加熱式タバコが紙巻きたばこより害が少ないというエビデンスは不十分だと結論付け、「紙巻きたばこより害が少ない」と宣伝することを禁止すべきだと助言したようです。
また、加熱式タバコによる副流煙は見えないし分かりにくいため、妊婦や子供が知らないうちに受動喫煙してしまっている可能性もあります。
この本の著者は、加熱式タバコの受動喫煙の害が少ないということが明らかになるまでは、受動喫煙防止条例においては加熱式タバコを紙巻きタバコと同様に扱うべきだとおっしゃっています。
引用元)「HEALTH RULES 病気のリスクを劇的に下げる健康習慣」RULE5より
著者:津川友介(UCLA准教授・医師)
出版社:集英社
発行年:2022年1月30日
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