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エビデンスってどうやって作られるの??
よく医学に関することを記事にしていると、エビデンスという言葉を耳にしますね。
直訳すると、「科学的根拠」となり、研究結果を意味する言葉となります。
皆さん漠然と、科学的根拠になるものは全てOKだと思って、エビデンスという言葉を頻繫に用いていらっしゃる人も多いかと存じます。
今回は、このエビデンスとは何か、エビデンスにもレベルがあるということを深堀していこうと思います。
研究者がエビデンスという言葉を使う時、そこにはより高度な手法を用いて評価された研究という意味合いで使われます。数字を使えば全てエビデンスになるわけではありません。
例えば、アンケート調査をして「満足している」や「やや不満である」という人たちの割合が円グラフで表されたものを目にしたことはあると思いますが、こういったものはいくら数字で表されていたとしてもエビデンスとは呼びません。
多くの場合、エビデンスとは論文になっており、より信頼性がおけるものです。
論文が全て信頼できるというわけではありませんが、論文になる過程では、一般的に3名以上の研究者が査読(中立な第三者である専門家が論文を読み、解析方法は妥当か、内容が信頼に値するかなどその論文の質をチェックすること)を行い、研究が正しい方法で行われているか、そして研究結果から導き出された結論が妥当かなどの評価が行われます。
この評価に耐え、医学雑誌の編集長が合格を出した研究結果だけが論文として掲載されるのです。
それだけ高いハードルを越えられたものだけが論文として雑誌に掲載され、世に出ているわけなので、論文になっていない研究結果は、誰のチェックも受けていないということになり、信頼性がわからないのです。
学会発表も同様に、論文ほど厳しいチェックを受けないので、それほど当てになるとは言えないようです。
学会によっては、審査を経た質の高い研究のみ発表させてもらえるものもあれば、申し込んだ研究はほぼすべて発表できる学会もあります。
本当に質の高い研究であれば、学会発表の後にいずれは論文化されて雑誌に掲載されることが多いので、論文になるまで待つという手もあります。
<エビデンスの元になる3つの研究>
1.観察研究
人がどのような生活をしているのかを調査して、その人たちが何年後かに病気になっている確率を評価する方法。
もちろん、健康的な生活をしている人と不健康な生活をしている人とは多くの点において違うので、単純に比較することはできません。
そこで、健康に関する多くの情報を入手して、それらの影響を統計的な手法を用いて取り除いたうえで、例えば、食事や運動習慣の違いによって病気になる確率がどれくらい変わってくるのかを解析する手法です。
2.ランダム化比較試験
こちらはある集団において順番にコインを投げ、表が出たら介入(ある食品を食べる・薬を飲むなど)を受けてもらい、裏が出たら介入をしない(もしくは偽薬と言われる何の効果もない薬を飲んでもらう)の2つのグループに分かれて追跡し、その後に健康状態や病気になる確立を比較することで、介入の効果を正しく評価する試験です。
観察研究の場合では、データで集められていない要因に関しては、影響を取り除くことができないという欠点がありますが、この手法だと介入を受けたかどうかの点以外に関して、ありとあらゆる点において2つのグループは同じなので、観察研究よりランダム化比較試験の方が信頼できる優れた研究方法であるとされています。
3.メタアナリシス
テレビなどではよく、ある食品が身体に良いといった研究結果が流れていたりします。
しかし実は、その研究以外にも複数の研究しているところがあります。その数が10あったとして、5つは健康に良いという結果で、残りの5つは健康に悪いという結果かもしれません。このように、世の中には複数の結果があって、必ずしも同じ結果ばかりとは限らないことも少なくありません。このような場合に、その結果をまとめて全体としてどのような傾向にあるかを評価する方法がメタアナリシスになります。
メタアナリシスには重要なルールがあり、研究者が自分の主張する都合の良い結果だけを評価する選り好みをしてはいけません。
メタアナリシスの結果を知ることで、全体像が見えてきます。
一般的に、メタアナリシスの方が単独の結果を得るよりも信頼できるとも言われています。
メタアナリシスには観察研究をまとめたものやランダム化比較試験をまとめたものがあります(これら療法をまとめたものもあります)。
前述のように、観察研究よりもランダム化比較試験の方が信頼できるため、ランダム化比較試験をまとめたメタアナリシスが、最も信頼できる最強のエビデンスであると言えます。
記事を書くにあたって参考にしている「HEALTH RULES」の著者の津川雄介さんは、本を書くにあたって、エビデンスレベルの高いもの(メタアナリシス)のみを取り上げて執筆されているそうです。
引用元)「HEALTH RULES 病気のリスクを劇的に下げる健康習慣」COLUMN5より
著者:津川友介(UCLA准教授・医師)
出版社:集英社
発行年:2022年1月30日
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