がん治療本のご紹介①

<ドキュメント がん治療選択  金田信一郎著>

この本は、がん告知をされた方やその周りの方の必読の書だと思います。

著者の金田信一郎さんは、30余年余り取材をしてきたベテランのジャーナリストの方らしく、がん告知を受けて愕然となった後も、辛い治療を受け大変な思いをしながら自分の病気や治療法、病院のデータなどを根気よく集め、回復後に自分がどうありたいかを真剣に考えて、病院や医師をしっかりと選んできたおかげで、現在も取材活動ができるまで回復しておられる方です。

患者さんの描写やご自身の豊かな感情表現やリアルな体験による気迫から、こちらもつい感情移入して読めるので、特にがん患者さんでなくとも臨場感を味わえました。

金田さんの場合はジャーナリストであるために、治療にプラスになるような人脈をもっていらっしゃる良さもあるのですが、それ以前に辛い抗がん剤治療で入院中のさなか、PCやIpad、Iphoneを駆使して自分の病気や治療について徹底的に調べた尽くしたという点では、気力・体力ともになかなか誰もができることではありません。(抗がん剤治療は私の妹も受けており、治療中PCやスマホは見たくもないし触りたくもないとよく言っていましたし、また他でもそういう意見をよく耳にするからです。)

転院やセカンドオピニオンにおいては、病院、各先生方との日程調整の連携の難しさ、外科や内科、さらには病院間の壁の厚さ、医師や看護師など医療スタッフの職種同士の分断など、治療中に患者として負担を経験することで、日本の医療における問題点に気づくことができた点を、非常にわかりやすく心情に訴えかけてくる文章で書かれております。

これらの問題点から金田さんがおっしゃることは、患者さん側は教訓として、自分の病気と治療法を医師や病院に任せきりにしないで、運命は自分で決めていくーその思いを最初から最後まで持ち続けた方がいいということです。

金田さんが見てきたのは、病院や医師に任せておけば安心と自分の意志を持つことを放棄して、後々後悔する人が多いという現実です。

これは、いしゃっちの理念「医者や病院任せではなく、自分を知って治療法を選ぼう」にも大きく共感するところでした。

金田さんは本来、食道がんの抗がん剤治療と外科手術のみを病院から提示されました。

その後、最初の病棟で一緒だった患者さんたちが、術後の辛さと不便さに次々と苦しんでいる様子を目の当たりにします。

東大病院という最高の病院でトップの医師が担当するチームに診てもらってはいるけれど、実際の執刀医は誰になるのか明かされないどころか、そもそも病気や治療の説明が納得いくまで寄り添ってもらえているとはほど遠く、不安が増す日々の連続のなか、ついにセカンドオピニオンからの転院をされます。

そこでようやく患者さんに寄り添ってくれて、尚且つ腕の良さに実績のある先生に出会うわけですが、今度は絶妙なタイミングで、同じ病気を過去に患って手術をした経験を持つ昔の先輩から連絡が入ります。「術後思うように身体を動かすことが出来ず、術後が一番地獄だ」と言っていた先輩の言葉が引っかかります。

そこで頭をもたげてきたのが、本当に外科手術をしていいのだろうかという疑問です。

そこで自分は治療後も依然と同じように取材に出かけられる身体でいたいから、命は助かったとしても前のように動けなくなる治療(=手術)はしたくない、というご自身の希望に気づくことになります。

そこで抗がん剤治療の間に、手術をやめて放射線治療へと切り替えることになりました。

良い先生に巡り合っていただけに、外科手術を辞めると伝える葛藤や今度は放射線治療をするにあたってのセカンドオピニオンなど、本当に納得するまで調べて動かれた様子が書かれてあって、患者さんはその動きを拝読するだけでも、参考になると思います。

幸いしたのが、外科手術のために転院したその病院は、放射線治療においても優れた医師と機械が揃っており、安心して委ねられたことです。

それも、セカンドオピニオンを頂いた先生からのアドバイスでわかったことでしたので、やはり複数から意見をもらうことは大事なようです。

最後に、金田さんが一番願っているのが、患者さんと医療界の関係性の変化だそうです。

医療側が患者さんに情報をわかりやすく提供し寄り添って考えるようになれば、日本の医療は医師や技術・医療スタッフ一人一人を見れば極めて高い水準にあるので、劇的に状況は変わっていくだろうとおっしゃっています。

また最初にお伝えしましたが、病院の中で専門によって分断されていたり、職種によってスムーズな連携がうまくいかない様子、さらには病院間の壁が厚いので、患者さんの方が気を使わなければいけなくて、時として病状の悪化につながり兼ねないところなどが挙げられています。

そして何より、患者さん一人一人の生活や考え方を知って、それに合った医療を提供しよういう発想が、医師の人間性によるところが大きく、実際にはうまく機能していないため、患者さんのニーズと医療機関が提示する治療法が乖離していて、うまく信頼関係が築けていないという点が問題提起されておりました。

逆に言うとあと一歩、患者中心の連携ができれば新たな医療のステージを切り開くことができるので、少しでも早く実現できることを願っていると書かれてあります。

いしゃっちも患者さんが自分主体で治療法や病院を選べるように、様々な情報をご紹介していきたいと思っています。いしゃっちは代替医療も肯定的に扱うサイトですが、代替医療と謳っているものの中には、あまりにもそれだけで治療するには無謀な治療法も存在していると思いますので、くれぐれもそういった情報やご紹介の仕方には気を付けていかなければと、改めて考えさせられました。

がん治療を前向きにとらえて、その舵取りを最後まで自分でおこなうことが何より大事です。がんが自分を捉え直す良いきっかけになる人もいるかもしれません。

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この記事を書いた人

「医者や病院任せではなく、自分を知って治療法を選ぼう」医療に対する考え方や治療法の選び方が多様化している現在において、いしゃっちはそのひとそれぞれの状態や信念に基づいて、無理なく負担がない治療法を一番に推奨したいために、統合医療という形で情報提供していくつもりです。気軽にいろんな治療法を知っていただき、ご自身に合ったものを選んでいただけたらと思いまして、とかく重たくなりがちな医療ですが、いしゃっちという軽やかな名前を付けさせていただきました。

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