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普段の生活でがんを防ぐには?
「がんになったのは過去の生活習慣が悪かったから」と考えるのは適切ではなく、高齢者になるほど、必ずしもそうとは言い切れません。
その一方で、がんになるリスクを上げたり下げたりする生活習慣は、確実にあります。
生活習慣の中に、事前にがんリスクを下げる習慣があるのなら、日常に取り入れてみたいと思いますよね。
ではまずは、食事に注目しましょう。
がんと診断された患者さんを、食事だけで治すのは難しいですが、その一方で、健康な時から食生活に気を付けておくだけで、がんリスクを下げ、予防につながります。
あくまで確立の話になりますので、どれだけ食事に気を付けていても、リスクをゼロにすることはできませんが、以下、参考にしていただけたらと思います。
<がんになるリスクを上げる食べ物>
1.ハム、ソーセージなどの加工肉及び赤身肉
2015年10月.世界保健機関(WHO)の専門機関である国際がん研究機関(IARC)が発表
「加工肉は発がん性があり、赤い肉はおそらく発がん性があると考えられる」
加工肉の場合、1日当たりの摂取量が50グラム(ホットドッグ1本、ベーコンスライ ス3枚)増えるごとに、大腸がんになるリスクが18%増加すると報告されています。
赤い肉の場合、1日当たりの摂取量が100グラム増えるごとに、大腸がんになるリスク は17%増加すると報告されました。(赤い肉とは、4本足の動物の肉のことを指しま す。牛肉・豚肉・羊肉・馬肉)
※「赤い」といっても、赤身肉だけを指すのではありません。部位に関わらず、4本足 の動物の肉は全て赤い肉であり、大腸がんになるリスクを上げる可能性があります。
※ 鶏肉は「白い肉」に分類され、がんリスクのない健康な肉だと言えます。
日本人によるデータでも、加工肉や赤い肉の摂取量が多い人ほど、大腸がんになるリス クが高いことがわかったのです。
大腸がんには、肛門に近い直腸にできる直腸がんと、肛門から遠い部分に出きる結腸が んの二つに分けられます。日本人のデータでは、この結腸がんで、加工肉や赤い肉の影 響が見られました。
保存料や添加物などが身体に悪いのだから、そういったものを省いて作られたものな ら安心と思うかもしれませんが、残念ながら、加工肉は塩漬けや燻製などの調理過程に おいて、多感芳香族炭化水素(PHA)という物質が発生していて、それがさらにがんに なるリスクを上げている可能性が示唆されています。
2.塩分
塩分摂取量が1日10g以上の人は、10g未満の人に比べて、胃がんになるリスクが2 倍以上も高いことが明らかになっています。(これは年齢・性別・ピロリ菌の有無・胃 がんの家族歴など、塩分摂取量以外の要因を取り除いても変わりませんでした。)
胃壁を守っている胃の粘膜の粘土が変わり、胃壁が硝酸塩のような発がん性物質にさら されてしまうため、また、胃粘膜に炎症を引き起こす作用が塩分にはあるとされるの で、それによる慢性炎症が胃がんの原因にもなるそうです。
とはいっても、ここで言う塩とは外食や加工食などに使われる塩化ナトリウムを素材と した精製塩のことです。これを使った食品の塩分濃度に、気をつける必要があります。
普段から、精製加工されていない天然の海水を使って、安全な工程で作られた塩なら、 むしろミネラル豊富なのでたくさんとった方がいいと思います。(がんの診断を受けて いる患者さんは、浮腫みなどの心配があるため、天然塩でも控えた方がいいです)
おススメの塩:雪塩(宮古島) ぬちまーす(沖縄)など
<肥満はがんになるリスクを上げる>
よくがん細胞は、糖質を好むと言われていますよね。
なので、糖質を摂取しすぎるとがんになるリスクが上がると耳にすることもありますが、これは違います。がん細胞の分裂はとても速いので、糖質に限らずアミノ酸や脂質などの他の栄養素も大量に必要としています。
さらに言うと、糖質を必要としているのは、正常な細胞も同じなのです。
そのため、糖質を制限した食事で、がんが治ったり、がんになるリスクを下げるという科学的根拠はありません。
では、何が問題になるのかと言いますと、糖質(精製された炭水化物)の摂取量が多い人ほど太りやすいため、がんになるリスクが高まる可能性が示唆されています。
数多くの研究によって、肥満は実に13種ものがんになるリスクを上げると報告されており、痩せることは、がん予防においても有効であるというデータがあります。
以下、肥満によるがんのリスク倍率です。
・男性:食道・肺がん 4.8倍
・女性:子宮体がん 7.1倍
<がんになるリスクを下げる5つの食品>
がんになるリスクを下げることが知られている食べ物もあります。
以下、がんリスクを下げる食品とがんの種類を示しています。
1.魚 乳がん・大腸がん・肺がん
2.野菜・果物 大腸がん・肺がん
3.全粒穀物(玄米含) 大腸がん
4.ナッツ類 大腸がん・乳がん
5.オリーブオイル 大腸がん・乳がん
こうやってみますと、すべての食材が大腸がんのリスクを下げると示してますから、先ほどの赤い肉が大腸がんの可能性を上げるという研究と比較してみますと、予防するには、上記の食材を中心とした食生活にしていくことが必要になりますね。
塩分の項目でも説明しましたが、おススメに上げたような塩を使って、無肥料無農薬野菜やお米、抗生物質や遺伝子組み換え食品を餌にしていない畜産の肉や魚、無添加で製造過程が安心な調味料などで、日々の食事をできるだけ自炊することが何より大事です。
安全で優しい食材は身体だけでなく、心にも良い影響があります。
また、自然素材のものは何より美味しいので、楽しみながら試してみてください。
<お酒は少量なら体に良い? 悪い?>
みなさんはお酒はお好きでしょうか?
日本では、酒は百薬の長とも言われており、少量なら身体にいい影響を及ぼすと言われていますよね。お酒も、基本的には発酵食品なので、きちんとした製造過程でよけいなものが混じることなく作られたものであれば、微生物の働きで良薬としての価値はあると思います。
ただ、あくまでストレス発散や楽しみを兼ねて少量なら、、といったところでしょうか。
複数の研究結果によると、脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化で血管が詰まる病気については、アルコールは少量であればリスクは下がると報告されています。
その一方で、がんについては、アルコールは少量でもリスクが上がることが明らかになっています。
このように、病気の種類によってアルコールの影響の仕方が異なるため、アルコールは少量ならよいという情報と、少量でも健康に悪いという情報が混在しているのです。
また、フランス人の食生活では、バターなどの健康に悪い脂肪をたくさん摂取し、喫煙率が高いにもかかわらず、近隣諸国よりも心筋梗塞の死亡者が少ないのです。
フランス人はワインの摂取量が多いため、ワインが健康に良い働きをしており、少量であれば、動脈硬化を原因とした病気による死亡を減らす可能性があることが報告されました。
こうして、アルコールは少量であれば健康に良いと信じられるようになりました。
そういえば、日本でも養命酒といった健康を促進するお酒がありますね。
それ以外の病気では、、最も健康に良い飲酒量はゼロであるという論文が、2018年に『ランセット』誌において掲載されました。
でも、これまで唯一の楽しみだった方や習慣になっていてやめられないという方も多いでしょう。そういう方は、できるだけ飲む量を控えめにするのはもちろんですが、先ほども申し上げた通り、できるだけ自然に近い手法で作られ、余計な物が混在していないお酒を選んで飲むことをお勧めします。自然食品店を利用してもいいですね。
値段だけ見れば手に取りやすいですが、間違っても、発泡酒やストロングゼロのような命を縮めてしまうようなお酒は選ばないようにしてください。
おススメの酒造メーカーは、寺田酒造さんです。
こちらは、天然酵母をいかし、自然なつくりで添加物を入れずに作っています。
味もおいしいし、優しくて飲みやすいです。
<運動は大腸がんと乳がんになるリスクを下げる>
がん予防のため、食生活の改善と同時にできることは運動です。
現代人は、パソコンやテレビの前に座っている時間が増えていますが、それによってがんになるリスクが上がるという研究結果があります。
デスクワークなどの座りがちの仕事をしている人ほど、乳がん・大腸がん・子宮内膜がん・上皮性卵巣がんになるリスクが高いと報告されています。
研究では、運動によってリスクが下がるという結果があるのが、大腸がんと乳がんです。
最も運動しているグループは、最も運動していないグループと比べて、がんになるリスクが27%低いという結果があります。別の研究では、大腸ポリープのリスクも15%下げると報告されているのです。
日本人のデータを用いた研究では、運動をしている人は運動をしていない人と比べて、男性では大腸がん・肝がん・膵がんのリスクが低く、女性では胃がんのリスクが低いとされています。
また、がんの治療中および治療後の人が、適度な運動をすることは、健康状態の改善だけでなく、生活の質を向上させ、倦怠感が減るという報告があります。
<長年タバコを吸っていても、今から禁煙すれば肺がんリスクは減らせるか>
タバコを吸っている人で、今からやめても肺がんリスクは減らせるのだろうか、どうせ無理だろうから禁煙しても意味がないと思っていらっしゃる方もいるかと思います。
実際、ヘビースモーカーが生涯のうちに肺がんになるリスクは30%に上るのに対して、喫煙したことがない人のリスクは1%にも満たないとされています。
その差は実に30倍です。
20万人のデータを解析した研究によると、喫煙者が禁煙することで、余命が6~10年延びると推定されています。
肺がんと診断され、現在治療中の患者さんにとっても、禁煙は効果的です。
複数の観察研究を統合したメタアナリシスによると、喫煙を続けた人はそうでない人と比べて、死亡率や再発率がかなり高いようです。
例1)65歳の早期の非小細胞性肺がん患者さんが喫煙を続けた場合、5年生存率が33%であるのに対して、禁煙した場合には70%まで改善すると推定されました。
例2)小細胞性肺がんでは、喫煙を続けた場合、5年生存率が29%であるのに対して、禁煙した場合には63%であったと報告されています。
こんなに開きがあるのなら、がんと診断されてからでも遅くはありません。
希望をもって禁煙しましょう!
<ストレスががんを引き起こす科学的根拠はない>
最後に、よくがんなど大病を患った時には、ストレスが原因ではないかとよく言われますよね。ストレスの原因となるものは様々あると思いますが、果たして、これは科学的にみてどうなのでしょうか。
米国国立がん研究所では、ストレスががんの原因となる信頼できる科学的根拠は存在しないと報告しています。
動物実験レベルでは、ストレスはがんの進行を早めたり、転移を促進したりすると報告されていますが、人間を対象にした研究は限られていますし、目に見えないうえに、人によってストレスを感じる箇所も違うため、計測しづらいところではありますよね。
1413人の乳がん患者さんにおいて、βブロッカーというある種ストレスホルモンを下げる効果がある薬(本来は血圧の薬です)を使っていた人ほど、再発率が低かったという報告がありますので、ストレスががんの進行に何らか関わっている可能性があるといえます。
ですが、現時点ではストレスががんの原因であったり、がんの進行や転移を早めることを示唆した質の高い研究はありません。
とはいえ、生活の質を高く保つためには、日々、穏やかで幸せに過ごせるに越したことはありません。
引用元)「世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった最高のがん治療」第7章より
著者:大須賀 覚、津川 友介、勝俣 範之
出版社:ダイヤモンド社
発行年:2020年4月
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