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睡眠と健康の相関関係について
皆さんの睡眠時間は、毎日どのくらいでしょうか?
仕事や家事育児に追われて、なかなか取れていない人も多いのではないでしょうか。
また、例え起きられたとしても、日中、ずっと眠気を感じていて、頭がすっきりしないことはないでしょうか。
「そもそもなぜ睡眠が重要なのか?」
「慢性的な睡眠不足は、健康にどのような悪影響を及ぼすのか」
「人間はどれくらいの睡眠時間が必要なのだろうか?」
本日は、以上について深堀していきたいと思います。

<なぜ人は眠るのか?>
睡眠の問題で言うと、一般的には、睡眠不足と睡眠の質が問われるかと思います。
よく睡眠不足を、睡眠の質が悪いと表現されることもありますが、ここでは「睡眠時間が足りていない状態」と定義させていただきます。
睡眠に関しては、質よりはるかに量が重要であることは、ぜひ知っておいてほしいことです。逆に、睡眠時間が足りてないことによって生じている問題を、睡眠の質を改善させることで解消することはできないようです。
そもそも人間はなぜ睡眠を必要とするのか? その理由はあまりよくわかっていません。
ですが、眠っている間に、不要な記憶を削除したり、脳細胞同士のつながりが整理されたりで、コンピューターがメンテナンスをするような役割を果たしているのではないかと考えられています。
さらに言うと、成長期の成長ホルモンの分泌は睡眠中(特に入眠直後の深い睡眠の時)に限られており、人間は脳だけでなく、脳と体の両方のメンテナンスのために眠っていると考えられています。
<睡眠不足によって殺される>
慢性的な睡眠不足は、健康に様々な悪影響を及ぼします。
・約50万人の成人を7年間追跡した英国の研究では・・・
睡眠時間が6時間未満の人は、それ以上の人と比べて、心筋梗塞になるリスクが20%も 高くなることが明らかになりました。逆に、睡眠時間が1時間延びるごとに、心筋梗塞に なるリスクは約20%低くなりました。。
・スペインで約4000人を対象として行われた研究では・・・
睡眠時間が6時間未満の人は動脈硬化が進んでいることが明らかになりました。
睡眠時間が短いと、血液中の炎症性物質が増えることが原因だと考えられています。
そのほかでも、睡眠不足が招くことには・・・
・不整脈や免疫機能の低下による死亡率増加
・肥満になりやすくなる
よく夜更かしした時なんかに、とてもお腹がすいたり、ラーメン屋スナック菓子のようなカロリーの高いものを欲することがありませんか。
これは、睡眠不足によって食欲を増す効果があるグレリンというホルモンの分泌が促進され、食欲を抑制する効果があるレプチンというホルモンの分泌は逆に減るからです。
睡眠不足により、脳の食欲をコントロールする部位の活動が低下し、肥満リスクが高まるのです。
<自覚できない生産性低下>
睡眠不足は健康に悪影響を与えるだけでなく、仕事の生産性も下げます。
これは、経験者は多いと思いますので、容易に想像できますね。
もちろん、医療機関による研究の中でも、睡眠時間が短ければ短いほど、ミスが増えるというわかりやすい結果が出ています。
たださらに興味深いことには、自覚している眠気の強さとミスの数は比例していませんでした。
以下が実験の内容です。
・4時間・6時間・8時間睡眠を14日間続ける3つのグループと3日間徹夜という合計4 つのグループで、PVT(精神動態覚醒水準課題)テストと呼ばれる覚醒水準や作業能力を 評価するテストを受けてもらいました。
その結果、睡眠時間の長短にかかわらず(徹夜のグループを除いて)、4~5日するとどのグループも眠気はそれ以上強くならず大差ありませんでしたが、日にちが経つごとに睡眠時間が短いほどミスの数が増えていきました。
つまり、自分が眠気を自覚しているかどうかは関係なく、睡眠不足は知らぬうちに生産性を落としているのが証明されたのです。
アメリカを代表するシンクタンクであるランド研究所が、2016年に出版したレポートによると、睡眠不足による生産性の低下によって、日本では毎年60万日分の労働日数が失われており、これによる経済的損失は約15兆円(GDPの3%)に上ると試算されています。

<1.5時間周期のウソ>
それでは、どれくらい睡眠時間を確保すれば十分なのでしょうか。
日本ではレム睡眠(脳が活発に動いている睡眠のこと)とノンレム睡眠(眼球は活発に動いてなく、脳が休息している深い睡眠のこと)が。交互に1.5時間周期でくるとよく言われています。
そのため、6時間睡眠がきりの良い睡眠時間だと思っている人が多いようですが、実はこれはあくまで平均値が90分というだけであり、実際のレム睡眠とノンレム睡眠の周期にはかなり個人差があるということが、アメリカでは言われています。
さらに複数の研究結果から、6時間では睡眠時間は足りないことが明らかになっています。
アメリカの国立睡眠財団によると、18歳から64歳までの人は7~9時間、65歳以上の人は7~8時間の睡眠時間が必要であるとされています。
さらに10代や子供になりますと、6から13歳であれば9~11時間。14歳から17歳では8~10時間の睡眠時間が必要です。
よく若者が眠そうにしているのを見かけますが、あれは不摂生ではなく、生物学的に大人よりも長い睡眠時間を必要としているからです。
このエビデンスをもとにして、ワシントン州の高校で学校の始業時間を1時間遅らせる実験をしたところ、生徒の睡眠時間が34分増え、成績が平均で4.5%向上したそうです。
<眠るだけで得られる巨大なメリット>
これまでのことでわかったことは、慢性的な睡眠不足は万病のもとであるということです。
健康で長生きをしたいと思ったら、十分な睡眠時間を確保することは必要不可欠です。
もう一つは、睡眠不足は脳のパフォーマンスを下げるということです。
睡眠時間を確保することも、ご自身の仕事の一部と捉えた方が良さそうです。
最後に、私たちが健康を維持して仕事でパフォーマンスを発揮するためには、7時間以上の睡眠時間が必要ということです。
睡眠の質とよく言われますが、まずは7時間の睡眠時間を確保してからの話です。
働き方改革という点においても、少子高齢化により、日本はますます労働力がなくなりつつあるので、仕事の生産性を高めていく方向に舵を切らななければいけないと言われています。
そのためには、従業員に長時間労働を強いるより、毎日早めに帰宅させ、少なくとも7時間の睡眠時間を確保してもらう方が良いでしょう。
またこの方法だと、生産性が高まるだけでなく仕事に対する満足度を高め、感情を安定させ過労による抑うつなどの精神的な問題のリスクも下げ、長生きしてもらえるため、「健康経営」につながるまさに「四方よし」の改革だと言えます。
引用元)「HEALTH RULES 病気のリスクを劇的に下げる健康習慣」RULE1より
著者:津川友介(UCLA准教授・医師)
出版社:集英社
発行年:2022年1月30日
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