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運動と長生きの関係を科学する
<「1日1万歩」に科学的根拠はない?>
健康維持の上で重要な要素として、食事・運動・睡眠・精神状態(ストレスなど)の4つが挙げられるでしょう。もちろん、これらの要素がすべて重要であるということは、多くの人がすでに認識しているでしょう。
しかし、実際にうまくマネージメントできている人はどれくらいいるでしょうか。
また、運動する目的は人によって違うでしょう。
ここでは、「病気にならないため」にはどのくらい運動すればいいのだろうかという観点から長生きに至るまでをデータをもとに解説したいと思います。
よく「1日1万歩を歩く」ことが健康に良いという目安で使われることがあり、これは日本発祥だと言われていますが、この「1万歩」という数字には実は永らく何の根拠もなかったようです。
1964年の東京オリンピックを契機に、国民の運動やスポーツの機運が高まる中、「歩け歩け運動」や「1日1万歩」運動などを推奨する団体が、積極的に歩くことを勧めました。
その後、「1日1万歩」が健康に良いという考え方は世界中に広まり、あたかも科学的にも認められた正しい知識であるかのように受け取られるようになったと言われています。
2020年に発表された最新の研究によると、1日7500歩以上歩くことでさらに健康上のメリットがあり、1日12000歩くらいまでは歩数が多ければ多いほど死亡率が低いという結果が出ました。
これは、年齢・性別・食事内容・肥満度・飲酒量・喫煙量などの影響を統計的に取り除いたうえでの1日の歩数と死亡率に関する結果です。
逆に、12000歩以上は歩いても健康上のメリットは変わらないと出ています。
もちろん、体重だけが重要なのではなく、体重や血糖値などそのほかにも健康の指標はあります。
また、アメリカ人を調査対象としたデータなので、日本人では結果が異なるかもしれません。それでも、生活習慣を見直すきっかけにはなるデータかなと思いました。

<1日1時間走ると寿命が7時間延びる>
では、実際に日本人はどのくらい歩いているのでしょうか?
2017年にスタンフォード大学の研究者が、世界111か国70万人の持っているスマートフォンに内蔵された加速度計のデータを解析することで、各国の人々が1日平均でどのくらい歩いているのかを研究しました。
その結果、日本人は1日平均6010歩歩いていることがわかりました。
これは調査された国の中では香港、中国、ウクライナに次いで4番目に高い結果です。
ですので、先に導き出された12000歩を達成するためには、1日6000歩をプラスアルファすればいいという計算になります。
これは、時間で言うと1.05時間・距離で言うと4.2㎞に当たります。
今の生活を考えたらなかなかハードルが高い人でも、1日12000歩くらいまでは歩けば歩くほど死亡率は下がると出ていますので、できる範囲内で歩くことをおすすめします。
また、ランニングをしている人も多いかと思います。
定期的にランニングをしている人は、していない人より寿命が約3年長いという研究結果が出ています。
この研究を行った研究者は、ニューヨークタイムズの記者に対して、「1時間ランニングをすると寿命が7時間延びる」とコメントしています。
<運動量ゼロの人がやるべきこと>
最後に、アメリカのガイドラインで推奨されている健康を維持する運動量をご紹介したいと思います。以下、こちらは大人を対象としております。
・週150~300分間の中強度の運動(個人差はあるが早歩きや階段の上り下りなど)、もし くは週75~150分感の高強度の有酸素運動(ジョギングなど)
・週2回の(身体にあるすべての主要な筋肉を使った)筋トレをすること
もちろん、運動量が多ければ多いほど死亡率が低くなるという関係が認められています。
ただしその中でも、日ごろの運動量がゼロの人が少しだけ運動した場合に得られる健康上のメリットが一番大きい。つまり、死亡率が一気にグッと低くなるのです。
注意が必要なのは、食事制限をせずに運動のみで減量したいときです。
週150分間の運動ではおそらく不十分であるということが分かってきています。
研究結果からもわかる通り、運動は確実に病気を予防し、長生きさせてくれるものです。
いきなりガイドラインに沿うようには難しくても、普段運動しない人が少しだけした時の健康上のメリットは大きいので、まずは少しだけでも日々歩く量を増やしてみてほしいです。
ストレス発散にもなるし、体調も良く感じるようになるはずです。
引用元)「HEALTH RULES 病気のリスクを劇的に下げる健康習慣」RULE3より
著者:津川友介(UCLA准教授・医師)
出版社:集英社
発行年:2022年1月30日
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