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がんかな?と思ったら ~ どうやってがんを見つけるのか?
皆さんの中には、もしかしてがんかもしれないと、密かに不安を抱えている方や、まったく自覚がなかったのに、かなり進行した状態でがんが見つかったという方が、いらっしゃるかもしれません。
多くのがんは、進行がんになってから症状を引き起こします。
がんが大きくなり、周辺の臓器を圧迫するからです。
4つの症状が見られましたら、専門の検査を受けるなど、すぐに病院を受診してください。

<がんが疑われる4つの症状>
症状1. 大便に血が混ざる
血便など、大便に血が混ざる血便を引き起こす代表的ながんは、胃がんや大腸がんなどの消化管のがんです。
胃潰瘍や痔でも、出血することがありますが、下血・血便の約2~5%に、大腸がんが見つかるとされています。
症状2. 尿に血が混ざる
血尿など、尿に血が混ざる血尿を引き起こす代表的ながんは、膀胱がんや腎がんなどの尿路系のがんです。(血尿は、膀胱炎や腎炎などでも起きます。)
肉眼ではわからない血尿が、健康診断で見つかった場合、早期のがんが見つかることはまれです(約1%)。
一方、肉眼でわかる場合には、4~10%に尿路系のがんが見つかるとされています。
症状3. せきと一緒に血が出る
肺や呼吸器から出血し、せきとともに出る喀血を引き起こす代表的ながんは、肺がんです。
喀血の3~6%に、肺がんが見つかるとされています。(肺炎などでも、喀血が出ることがある)
症状4. ものを飲み込むのが大変
食べ物を飲み込むことが困難になる嚥下困難を引き起こす代表的ながんは、食道がんです。
嚥下困難の4~5%に、食道がんが見つかります。
このほかにも、原因不明の熱・リンパ節の腫れ・寝汗・原因不明の体重減少・原因不明の腰痛・乳房のしこり・異常な性器出血が、2週間以上続くようであれば、専門医を受診することをお勧めします。
<受けるべきがん検診はこの5つ>
がんの種類によっては、早期に発見することで、早期治療ができることによって、命に関わる前に根治できるものもあります。
具体的には、胃がん・大腸がん・肺がん・子宮頸がん・乳がんの5つです。
国立がん研究センターは、この5つのがん検診を推奨しています。
推奨されている検診スケジュール通りにがん検診を受ければ、がんを早期発見・早期治療できる可能性があります。(各市町村にお問い合わせください)
・胃がん 胃X線検査・胃内視鏡検査
・大腸がん 便潜血検査
・肺がん 胸部X線検査
・子宮頸がん 細胞診
・乳がん マンモグラフィー検査
また、国によって検査の科学的根拠のとらえ方は異なっていますので、海外在住の方はよく気を付けてください。
例えばアメリカでは、胃がんの発生率が低いため、推奨されているがん検診は、胃がんを除いて4つになります。
また、肺がん検診の胸部X線検査は、推奨グレードDといって、一言でいうとデメリットの方が多いと判断されており、推奨されていません。(低線量CTは、ヘビースモーカーなどの高リスク群に対しては、グレードBで推奨されています。)
<検診があまり有効でないがんもある>
検診で早期発見・早期治療につながれば有効ながんがある一方で、すべての種類のがんに、検診が有効なわけではありません。
がん検診は、進行が非常に早いがんと、非常に遅いがんには向いていないのです。
がん患者さんの中には、毎年人間ドックを受けても異常がなかったのに、その後2か月間で急にお腹が膨れ、調べたらステージⅣの卵巣がんだと診断された方もいます。
これは、非常に早く進行するがんだったため、毎年の人間ドックでは見つけられなかったのだと考えられました。
・がんの種類を進行速度別に4つに分類
1.急速がん(検診が有効でない)
進行が速すぎて検診日とタイミングが合わなければ見つけられない。
急速がんの代表は、急性白血病・胚細胞性腫瘍・小児がんです。(進行の早い卵巣がん や膵がんなども含まれます)
急速がんには抗がん剤がよく効きます。抗がん剤は、分裂が活発で増える速度が速いが んに効きやすいからです。
2.のんびりがん → 一番、検診に向いている!
放っておくと、進行がんになって人を死に至らしめるため、検診が必要。
のんびりがんの代表は、乳がん・大腸がん・子宮頸がん・肺がん・胃がんです。
3.超のんびりがん(検診が有効でない)
進行が非常に遅いため、放っておいても症状がでることはなく、がんでなくなる心配は ない。逆に、検査を受けたがために過剰診断・過剰治療をされやすい危険がある。
超のんびりがんの代表は、前立腺がんです。
前立腺がんの60%は進行しません。
4.進行しないがん(検診が有効でない)
がんと診断されても進行しないため、逆に検査を受けたがために、過剰診断・過剰治療 をされやすい危険がある。
進行しないがんの代表は、甲状腺がん・肺がんの一部です。
肺がんの50%は進行しません。
甲状腺がんの過剰診断は、韓国で大きな問題になったことがあります。
1990年代後半から、韓国は国を挙げてがん検診に取り組みました。
その結果、2011年には検診開始前と比較して、約15倍の4万人以上が甲状腺がんと診 断されました。しかし、死亡率にはほとんど変化がなかったことが明らかになっていま す。本来なら放っておいても命に関わらない、過剰診断されたがんであるということで す。
ここまでにおいて、全てのがんがこの4つに分類されているのでしたら、対処しやすいのですが、がん検診の話がややこしいのは、同じ種類のがんでも、この進行速度の異なる4つが交じり合っていることです。
例えば、先ほどはのんびりがんだと述べた乳がんの中には、急速がんもあれば、超のんびりがんもあります。また、先ほど60%は進行しないと述べた前立腺がんの中にも、進行性のものがあります。
がんと診断された時点で、このがんは超のんびりがん、もしくは進行しないがんなどがわかればよいのですが、問題なのは、診断時には見分けがつかないことです。
後で過剰診断だとわかるにしても、手術などの治療をせざるを得ないのです。
前立腺がんや甲状腺がんの一部では、診断基準を設けて、様子を見ても良いがんを定義づける試みがされています。
他のがんでも、今後、こういった研究が進んでいくでしょう。

<民間で行われている3つの検診事業>
PET検査や腫瘍マーカー検診といった民間の検診事業で行われているものは、デメリットの方が大きいと考えられており、おすすめしません。
過剰診断が少なく、本当はがんがないのに誤ってがんであると診断されてしまう可能性が低く、死亡率の低下が示されているもののみを受けるべきです。
検診1.腫瘍マーカー検診ー感度(正しく判定する確率)が低すぎる
CEAやCA-19-9などの腫瘍マーカーは、医師ががん診断の補助として使っている腫瘍マーカーなので、検診目的(がんがあるかどうかの評価)での使用は推奨されません。
ちなみに、CEAの大腸がんに対する感度は46%との報告があります。
つまり、この検査を検診に採用した場合、100人中54人の大腸がん患者さんを見逃してしまうのです。
また、胃炎・消化性潰瘍・憩室・肝疾患・COPD(慢性閉塞性肺疾患)・糖尿病を患っていたりすると、CEAは高値になることが知られており、偽陽性が高いのです。
検診2.PSA検診ー死亡率を減らさない
PSA検診については、前立腺がんの死亡率を減らさないと結論付けられています。
アメリカで予防医療のガイドラインを作成している米国予防医学専門委員会(USPSTF)に掲載された研究では、55歳から69歳の男性に対して、死亡率低下はわずかであり、過剰診断や偽陽性が多いため、デメリットも多いことがわかりました。
さらに、70歳以上の男性には、PSA検診を受けるメリットが認められなかったため、行わないことが推奨されています。
検診3.PET検査ー見逃しが多い
PET検査とは、がん細胞がブドウ糖を取り込む性質を利用して、ブドウ糖に近い成分を体内に注射し、しばらくしてから全身の撮影をし、がんを診断しようとする検査です。
がんでない人が正常だと診断される確率が95%と高く、さまざまな病院で気軽に取り入れられている検査ですが、国立がん研究センターの研究では、PET検査は従来の検査に比べて、感度が18%低かったと報告されています。つまり、偽陽性率が82%と高かったのです。
特に、消化管がんをPET検査で早期診断することは、かなり困難です。
胃がんや大腸がんの検査には、内視鏡や便潜血検査の方が優れています。
PET検査は検診で使うというよりは、他の検診で『要検査』とされた時の精密検査として用いられるべきであり、症状がまったくない一般検診で使うための検査法ではありません。
安易な宣伝に惑わされないでください。
まとめ
皆さんが検診を受ける際には、がん検診のメリットデメリットを考慮に入れたうえで、最初に上げた5つのがん検診を受ければよいでしょう。
他の検診でもがんを発見できる可能性がないわけではありませんが、がんがないのに誤ってあると診断されるリスクがあり、そのために余計な追加検査や治療を受けなくてはいけない場合もあるというデメリットのことも覚えておいてください。
引用元)「世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった最高のがん治療」第6章より
著者:大須賀 覚、津川 友介、勝俣 範之
出版社:ダイヤモンド社
発行年:2020年4月
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